介護職員に腰痛が多いのは、中腰のまま腰をひねったり、重いものを持ち上げることが多いためです。

腰痛を起こしやすい場面のひとつが、入浴介助中です。入浴介助の浴室内では、足元が滑りやすくなっています。介助者自身が転倒しないように、普段よりも足を強く踏ん張る必要があります。また、入浴中の要介護者は衣類を身に着けておらず、体を支えたりするために介助に力やテクニックが必要です。その中で中腰姿勢を保ったまま体を洗ったり、うまく動けない方を抱えたりすると普段よりも余計に腰に負担がかかるのです。入浴介助は2~3時間続くので、同じ姿勢で介助を続けることも腰痛を引き起こす要因です。

次に腰痛を引き起こしやすい場面は、移乗介助が挙げられます。移乗介助は、腰痛を引き起こす要因である中腰での腰ひねりと人を抱えることを同時に行う必要がありるので、腰に負担がかかる介助です。自分の意志で動かない人の体には重みがあり、介護にはある程度の力が必要なので介助グッズの使用や2人で介助を行うようにするべきですが、基本的な体の使い方を身につけないといくら対策をしても腰痛は起きてしまいます。特に車いすからトイレへの移乗は、狭いところで行うので腰を痛める危険が高いです。また、車いすでもトイレでも、抱えた人を狭い座面に安全に座らせるために、介助者が無理な姿勢で介助してしまいます。最近は介護のロボットやリフトなどの導入が進んでいますが、在宅介護では人力で行うことが多いのが現状です。腰痛には十分に気を付けて介助を行うことが必要です。